ディラフルズ(仮名、写真右)は五常のグループ会社Humoの長年の顧客です。タジキスタンの首都ドゥシャンベ近郊で生まれ、結婚後に現在居住している村に引っ越し、そこで家庭を築きました。彼女の家庭はとても賑やかで、夫、3人の息子、3人の娘、そして7人の孫に囲まれています。そこには国境を越える家族の絆の物語が息づいています。
ディラフルズの息子のうち2人は現在ロシアで出稼ぎ労働者として働いていて、娘2人は結婚して別の家庭で暮らしています。海外で働く息子たちは工場に勤め、帰国できるのは年に一度だけです。家族にとって8月はとても特別な月で、子どもたち全員が1~3カ月ほど帰省します。ディラフルズも孫たちも、この再会を毎年心待ちにしており、同じ屋根の下で過ごすわずかな時間を大切にしています。
息子たちは2012年、わずか16歳の頃から海外で働き始めました。当時、村にはほとんど雇用の機会がなく、夫もまたロシアで働いていました。生計を立てるためには出稼ぎ以外の選択肢がなかったのです。それ以来、息子たちは毎週仕送りを続けており、それが家計を支える柱になっています。彼らはロシアで仕事を見つけること自体は比較的容易だと話していますが、故郷にいる家族を心配させないために実際に直面している困難についてはあまり語りません。
しかし、逆境はやってきます。2025年3月、息子の1人ロシアから強制送還されました。この出来事は家族にとって、辛く不安を伴うものでしたが、一方で帰郷によって、彼は父親や子どもたちとようやく一緒に暮らすことができるようになりました。
出稼ぎの過酷さを知っている息子たちは、年を重ねた父親にロシアでの仕事をやめるよう強く勧めました。労働環境は非常に厳しく、彼の年齢を考えるととりわけ困難です。さらに、長年家を離れていたため、家族と日常を分かち合うことはできませんでした。彼が家族と連絡を取れるのは、ビデオ通話だけです。こうしたスマートフォンを介して家族がつながる姿は、いまや国中の多くの家庭で共通する光景となっています。
Humoの存在は、ディラフルズの家族にとって大切な命綱となってきました。ディラフルズの家族は牛の飼育やとうもろこしの栽培から多少の収入を得ていますが、生計の主な柱となっているのは息子たちの仕送りです。家族が受けた融資は、ロシアへの渡航費用の工面や家畜の購入など、さまざまな用途に活用されてきました。これらの投資は小規模ながらも、出稼ぎ労働の不安定な面を補い、家庭が安定した経済的基盤を築く助けになっています。8月が近づくなか、ディラフルズは子どもや孫たちと再び一堂に会する日を心待ちにしています。彼女にとって、8月は送金が最も多い月であるだけでなく、喜びと再会、そして団らんの季節でもあります。海外でどんな困難に直面していても、家族が帰ってくることはお金では決して得られない温もりと安心をもたらしてくれます。