シリーズD資金調達を最終クローズし、グループ会社のより一層のデジタル化、社会的インパクトの拡大に向けた積極的投資を継続

五常・アンド・カンパニー株式会社(代表取締役:慎泰俊、本社:東京都渋谷区)は、シリーズD資金調達の最終クローズを実施しました。本クローズにより、シリーズDの調達総額は70.7億円に、2014年7月の創業からの累計資本調達額は146.7億円に達しました。

本最終クローズでは、既存株主である第一生命保険株式会社、株式会社丸井グループ、東京理科大学ベンチャーファンド(無限責任組合員:アストマックス・ファンド・マネジメント株式会社)からの追加出資に加え、新規投資家としてリコーリース株式会社、Beyond Next Ventures株式会社、GMO VenturePartners株式会社を含む複数の機関投資家及び個人投資家を新規投資家として迎え入れ、合計27.2億円を調達しました。 

ご参画いただいた株主の皆さまからは、長期的な利益の追求と社会的インパクトの創出を両立させるダブルボトムライン(Double bottom line)の実現を目指す弊社の取組みを評価いただいたものと理解しています。当社は、誰もが自分の未来を決めることができる世界をつくることをビジョンとして、SDGsが掲げる目標1「貧困をなくそう」、目標8「働きがいも経済成長も」、目標10「人や国の不平等をなくそう」を中心とした社会課題に取り組んでいます。

今回調達した資金は、新型コロナウイルスの影響を乗り越えて成長を再開しつつある既存グループ会社の事業拡大とデジタル化の推進、アジア・アフリカ地域における新たな投資先の開拓、そして顧客の生活の変化を捉える社会的インパクト測定を主な資金使途として活用して参ります。

新任社外取締役候補者の選任とグループガバナンス体制の強化

2020年12月16日付の当社取締役会にてRoyanne Doi氏が新たに社外取締役として内定したことをお知らせいたします。2021年初に開催予定の臨時株主総会における決議を経て、正式に就任予定です。Doi氏は、長年にわたりグローバル大手金融機関数社のシニア法務担当者を歴任した後、2015年より米国プルデンシャル・ファイナンシャルにてChief Compliance Officer及びChief Ethics Officer、直近ではヤマハ株式会社にてGlobal Legal, Ethics & Complianceのアドバイザーを務めてきました。年初より取締役会のオブザーバー、従業員向けトレーニング、世界中のネットワークの紹介などを通じ、当社の事業成長に貢献してきました。

「私のマイクロファイナンスとの出会いは、2010年のことです。正規の金融サービスから排除されてきたインドの女性や農民を対象とした、草創期のマイクロファイナンス機関の資金調達に携わってきました。法律、グローバルな企業倫理、コンプライアンス等の分野での実務経験を活かして、グループ会社との間で五常のミッション、ビジョン、価値観を持続的に浸透させることを目指します。そのためにも、企業倫理とコンプライアンスのベストプラクティスの学習機会の提供、五常の取締役会のコーポレート・ガバナンスを国際的な水準に高め不祥事等のリスクを未然に防ぐことに取り組んでいきます。」(Royanne Doi氏)

当社は、より高度な内部管理体制の構築、コンプライアンス強化など最適なグループガバナンス体制を確立するための取組みを進めています。Doi氏の社外取締役就任により、五常グループ全体の持続的な成長を可能にする内部統制、コーポレート・ガバナンス体制が更に強化されると認識しております。

Royanne Doi氏の経歴
Doi氏は、ヤマハ株式会社以前は、プルデンシャル・ファイナンス、ステート・ストリート信託銀行、シグナ・コーポレーション、エース・リミテッドなどのグローバル大手金融機関各社でシニア法務担当者を歴任。北米、南米、アジア、欧州で200名以上の従業員を管理した経験も有しています。また、Global Ethics Officerとして携わったプルデンシャル・ファイナンスは、2015年に初めて「世界で最も倫理的な企業」の1つに認定され、その後複数回にわたり認定を受けています。Doi氏はセントルイスのワシントン大学で哲学の学士号を、カリフォルニア大学ロサンゼルス校ロースクールにて法務博士号を取得しており、1994年より日本に在住しています。

新型コロナウイルスの影響からの回復と競争力向上に向けた施策

新型コロナウイルスは、当社の一部顧客や従業員に健康およびビジネス上の悪影響を及ぼしていますが、グループ会社の業績やオペレーションに深刻な影響を与える事態には至っておりません。また、グループ会社各社は各国の規制当局の通達を踏まえ顧客と緊密にコミュニケーションを取りながら、適切に事業を継続してきました。現在、融資の返済率は新型コロナウイルスの影響を受ける前の水準にまで回復しつつあることを踏まえ、新規融資も段階的に再開しております。また、グループ会社の手元流動性は健全な水準を維持しています。なお、顧客の多くが生活必需品の供給に従事するマイクロファイナンスセクターは、過去20年にわたり一貫して堅調な成長を続けてきました。

マクロ環境の回復を見込み、当社は積極的なデジタル化・自動化などのテクノロジー実装を進めています。具体的には、インドのグループ会社Satya MicroCapitalが提供している指紋認証やモバイルペイメントを活用したキャッシュレスでの融資・回収業務は、この期間に一段と顧客に浸透しました。カンボジアのMAXIMAは、五常のテクノロジーチームが独自にバックエンド・サービスを開発したデジタル・フィールド・アプリケーション(DFA)を用いて少額融資プロジェクトを拡大させています。これらの取り組みは、後にグループ各社にも展開されていく見込みです。

当社は、テクノロジーによる業務効率や利便性の向上と人間の間のふれあいを組み合わせた「テック&タッチ」のハイブリッド型のデジタル・トランスフォーメーションをグループ各社において進めています。今後も、従来型のマイクロファイナンスの変革を進め、顧客にとって更に利便性の高い金融サービスをアジア・アフリカその他全世界に展開していきます。

シリーズDファイナル・クローズに参画した既存投資家からのコメント

株式会社丸井グループ 取締役 上席執行役員 共創投資部長 兼 D2C&Co.株式会社 取締役 青木正久

五常・アンド・カンパニーは、当社グループが2050年までの達成を目指す、国を越えたファイナンシャル・インクルージョン実現に向けた、かけがえのないパートナーです。その思いは2019年6月の初回出資時から変わることなく、むしろ、その後の飛躍的な事業成長や、新型コロナウイルスの影響下における弛まぬ企業努力、チーム力の増強を通じて、より強くなっています。そして今回、「共創」の視点から、更に強固なパートナーシップを結ぶため、追加出資をさせていただきました。五常・アンド・カンパニーのミッション「すべての人に金融アクセスを届ける」は、当社グループも強く共感するところであり、ファイナンシャル・インクルージョン実現のために不可欠な、メンバーの熱量と金融テクノロジーとの掛け合わせによって、共に実現していきたいと考えています。

第一生命保険株式会社 執行役員投資本部長 重本 和之

当社は、民間版の世界銀行を目指すという慎社長の想いに深く賛同し、運用収益獲得と社会的インパクト創出の両立を図る「インパクト投資」として五常・アンド・カンパニーに追加出資しました。前回投資以降、着実に事業成長を実現できており、今後も発展途上国における金融アクセスの提供により、人々のQOL向上に貢献していくことを引き続き期待しています。

東京理科大学ベンチャーファンド(アストマックス・ファンド・マネジメント株式会社) 代表取締役 小幡健太郎

当社は、学校法人東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドの運用を行っており、広く社会に寄与する出資を実施して、資産価値の向上も実現することを目指しております。五常 ・アンド ・カンパニーが、そのビジョンである「誰もが自分の未来を決めることができる世界」の実現に向け、慎社長を中心に熱意と実行力をもって事業展開していることに共感し、2019年8月に最初の出資を行いました。変わらぬ期待をもって、この度のラウンドで追加出資をさせて頂きました。

シリーズDファイナル・クローズに参画した新規投資家からのコメント

リコーリース株式会社 代表取締役社長執行役員 中村徳晴

当社は、社会課題に対しポジティブなインパクトを生み出す事業分野への投資と支援に取り組んでおり、その一環として出資させていただきました。五常・アンド・カンパニーがビジョンとして掲げる「誰もが自分の未来を決めることができる世界」の実現に向けて、経済価値と社会価値の最大化を図りながらの更なる成長を期待しています。

Beyond Next Ventures株式会社 代表取締役社長 伊藤毅

Beyond Next Venturesは”誰もが挑戦できる世界を作る”をVisionに掲げ、テクノロジーを活用し社会変革に挑戦するスタートアップに出資をしています。私も畑は違えども同じ金融のフィールドで同時期に創業した起業家として、五常・アンド・カンパニーが掲げる ”民間版の世界銀行を作る”という壮大な構想に強く共感し、世界を舞台に着実に実現する慎社長を心から尊敬しています。五常の有するテクノロジーとグループ戦略により、近い将来その構想が実現すると信じています。

GMO VenturePartners株式会社 取締役 / ファウンディングパートナー 村松 竜  

Gojoという試み。マイクロファイナンスに規模による力を与える試み。しかしそれだけではない。その本質は、人類史上最大級の資本の流動性を、それが本当に必要だが届いていない世界の人達に、日本の資本市場・金融テクノロジーの力を使って届け、貧困問題を解決し生活に革新をもたらす「グローバルな日本発の社会実験」であると思っています。そのような試みに「日本と世界のFintechを繋ぐことが目的のGMO Global Fintech Fund」として参加させて頂くことが出来て大変光栄です。

数人の従業員とともに織物工場を経営しているカンボジアの女性 / Taejun Shin

五常・アンド・カンパニーについて

すべての人に金融アクセスを届けることをミッションとして、2014年7月に設立されました。2030年までに50カ国で1億人以上に低価格かつ良質な金融サービスの提供を目指しています。2020年10月末時点でインド・カンボジア・スリランカ・ミャンマーに4,800名を超えるグループ従業員を擁し、顧客数は60万人、融資残高は288百万米ドルを突破しました。

ビジョン: 誰もが自分の未来を決めることができる世界
ミッション: すべての人に金融アクセスを
長期目標:低価格かつ良質な金融サービスを2030年までに50カ国で1億人以上に届ける
本社所在地: 東京都渋谷区
代表取締役: 慎泰俊
設立日: 2014年7月4日
問合わせ先: info@gojo.co
会社HP: https://gojo.co/

 ※ KPIと財務数値はインドの子会社化予定グループ会社を含む、2020年10月末時点数値